おそらくこの記事を読んでくださっている人の多くは
会社で海外転勤が決まったが子供を日本人学校に通わせるか現地校に通わせるか悩んでいる。
そもそも高校受験をどうしたらよいか。一緒に海外に連れて行ってもよいのだろうか、と悩んでいる。
そんなご家庭が多いのではないでしょうか。
私自身、海外の日本人学校や帰国子女を大学院時代に研究し、実際に様々なフィールドワークもしてきました。
そのあたりの知見から今回は帰国子女における高校受験事情を紹介していきます。
そもそも日本人学校とは?
簡単に言えば、日本人学校とは、海外に駐在する日本人の子どもたちが、日本国内の教育カリキュラムに沿った学習を受けることを目的に設立された学校です。
日本企業の海外進出に伴い、駐在員の子どもが帰国後にスムーズに日本の教育システムに適応できるようにするためにできた学校なので、当然日本国内の文部科学省の学習指導要領に基づいたカリキュラムを採用しています。
つまり、日本の学校の教育を海外でも受けられるように整えたのが日本人学校、ということです。
あくまで義務教育段階の子どものサポート的な意味合いも強いので、基本的に日本人学校は小学校・中学校のみの設置となっており、高校はありません。
さらに、日本人学校は、実は私立の運営形態をとっていますので、有料です。ただし、基本的にその背後にいるのは文科省なので、利益目的というよりは人件費負担などの意味合いが強いと感じています。
日本人学校は、日本の公立学校の教育スタイルを踏襲しているため、「公立的な学校」と言うこともでき、教育内容は学校の雰囲気も含め「公立っぽい」です。(ただしお金がかかる、という感じですね)
一方で、日本国外には日本の私立学校が設立した「私立学校」も存在します。例えば、アメリカの西大和学園や早稲田渋谷シンガポール校、帝京ロンドン、等のように、なかには高校までの教育を提供する私立学校もあります。この私立学校の場合には基本的には「帰国を前提としない」教育のため、現地を生かした教育内容が展開されます。
日本人学校で失敗する高校受験
先ほどの説明で、日本人学校はあくまで日本の教育を行う場としての役割があるということをご理解いただけたと思います。
なので、留学のために日本人学校へ通う、ということはまずありません。
日本人学校のこどもは基本的には海外赴任に伴って子供が通うことになるので、いつかは帰国することになります。
この「帰国のタイミング」がとても大事になります。
そもそも日本人学校に通うことで日本の学力試験に関しては「有利になることはない」です。
なぜなら日本と同じ教育なので、日本人学校に通ったからといってなにか有利になることはないですし、言い換えればなにか不利にもならないです。
ですが、あくまでそれは「学力試験」という点での話で、「推薦入試」や「特別入試」では全く話が違います。
帰国後どの学校に通わせるかにもよりますが、最近の国内で国際教育に力を入れている学校には基本的に「帰国生入試」というものが存在します。難関大附属でも多くこのような制度が設けられており、この場合にはそもそも「帰国生」という肩書きでかなり有利になります。そもそも当てはまる子が少ないので、倍率もかなり抑えられます。
しかし、海外転勤の帰国予定はなかなか予定通りにもいかないもの。
さらに、帰国生の定義は学校ごとに異なっていて、「最低2年」といった条件つきの場合もあります。
例えば、最悪のパターンは、中2の夏に海外転勤、その後、中3の夏に戻ってきた、という場合にはただただ何もメリットのないことになります。

でも、そもそも考えていただきたいのが、せっかくの海外での子育て。それをただ受験のために、日本でもできる教育を受けさせることはもったいないのではないでしょうか。ならばもっとよい方法があると思っています。
帰国子女の高校受験を成功させるポイント
実は、日本人学校の設置は、現地の日本人の要請に基づいて決定されます。
そのため、日本人の駐在員が多いアジアや発展途上国には多くの日本人学校があるのですが、比較的駐在員が多いアメリカやヨーロッパになると急に日本人学校の数が少なくなります。
これは、アメリカなどでは現地の教育環境を活かし、子どもに英語を習得させたいという親の意向が強いためです。つまり、日本人学校に通わせずに、現地の学校に通わせるのです。



せっかくの海外の子育てですから当然日本でうけられない教育を受けさせたいと思いますよね
でも、その子どもも帰国後受験ということももちろんあります。
そこで、帰国子女の高校受験の成功のポイントは、現地の教育を生かしながら、日本の教育のサポートもするという良いところ取りをするということです。
現地の教育を生かすことができれば、英語の習得や異文化理解の経験で筆記や推薦入試で確実に利点が働きます。もちろん長期であれば帰国生入試の狙えます。
帰国子女の高校受験:最適な具体的な提案
まず、先ほど申し上げた通り、帰国子女の高校受験の成功のポイントは、現地の学校教育を生かしながら、日本の教育のサポートもするという良いところ取りをする、ことが重要になります。
1. 現地の学校教育を活用する
まず、現地の学校を選択肢として考えましょう。
しかし、なかには発展途上国のなかでその国の公教育が不安ということもあるでしょう。
その場合には、インターナショナルスクールも視野にいれてください。
金額としてはかなり安く済むことも多く、海外ならではの教育によって異文化理解や語学力を伸ばしましょう。
2. 塾や補習校で日本の教育をサポート
日本人の赴任者、駐在員が集まる地域には必ずといっていいほど日本の塾の海外校が存在します。
その利用をするのも1つですし、日本人学校がある地域ではたいてい補習校というものが存在します。
補習校とは、土日にやっている日本人学校だと思ってください。ここでは、学校で日本の教育のフォローがされます。もちろん現地校やインターナショナルスクールに通いながらも通学可能で、アメリカ圏には特に多く存在しています。
まとめ:日本人学校から高校受験までの成功法
日本人学校は、日本企業の駐在員の子どもが帰国後にスムーズに日本の教育システムに戻れるように設立されています。そのため、海外にいる間も日本のカリキュラムに沿った教育を受けることができるものの、高校は設置されていないため、帰国後の高校受験対策が必須です。
高校受験の方法としては、英語力がある場合は帰国生入試、そうでない場合は日系塾を活用した通常の受験対策を取るのが適切です。駐在員家庭では、子どもの将来の教育計画を考えながら、日本人学校や現地校の選択をすることが重要になります。
あくまで個人的な意見をかなり述べていますし、日本人学校を決して否定しているわけではないことはご了承ください、、、!!!
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