教職大学院&教育学系の大学院に特化した研究計画書のポイントを今回は紹介していきます。

私自身は、オンラインにて年間100名を超える「大学院入試に関する研究計画書の指導」を行ってきました。そのなかで合格率はおおよそ95%を超えており、絶対的な自信を持っております。
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そもそも研究計画書は何を書くべきか
研究計画書で一番大事なのは、「この研究を2年(修士の場合)でしっかりと達成できますよ!」のアピールです。
教授が一番避けたいのは、「留年」です。しかし現実問題、毎年留年してしまう大学院生も多くいます。
ここで重要となるのが「テーマ設定」なのですが、このテーマについてよくある失敗例は
「国語教育の読解について研究したいんだよなぁ」
「英語教育の文法指導について研究したいんだよなぁ」
などと、なんとなくの方向性しか見えていない場合です。
これは失敗する典型的なテーマ設定です。
このあたりのテーマ設定についてなぜ悪いのかがわからない場合には以下の記事で詳しく説明していますのでまずはご確認いただき本記事に戻ってください。


上記の記事を読んでいただくとわかると思うのですが、
研究テーマにおいて一番大事なのは、「何を明らかにするのか」を明確にすること、です。
先ほどの例であれば、
などと変更が必要になります。



このあたりのテーマやアイディアでお困りであればいつでもサポートしますのでコメント欄からご連絡ください。
教職大学院&教育学大学院に特化した研究計画書の抑えるべきポイント
教職大学院&教育学大学院における研究計画書の難しさは何といっても「評価」(測定)です。
先ほど、「何を明らかにするのか」を明確にすることがまず大学院受験の研究計画書においては最重要であることをお伝えしました。
例えば、漠然と、「音読指導は効果がある!」ということを明らかにするテーマ設定をしたとしましょう。
しかし、そもそも「効果がある」と何をもって証明しますか?
そして、「それなら、音読指導は読解力向上に効果がある!」というテーマに変えたとしましょう。
しかし、そもそも「読解力向上」を何をもって証明しますか?
さらに言えば、「音読指導」を1回行ったとしても、そんな急に効果が出るわけがありません。では「何回?」指導をするのでしょうか。
実は教職大学院&教育学大学院における研究計画書の対象である「教育」は、それを「測ること」、結果を「証明すること」がとても難しいのです。
この難しさを認識したうえで研究テーマを決定しなくてはいけません。
よくあるのが、「ちょっと勉強したいだけなんです」ということなのですが、それだったら「大学」に行ってくださいというのがあくまで前提です。
もちろん、入学後にその姿勢であることは正直多いので問題ありません。実際、自分の授業力向上や知識を増やすために入学したという人も多いです。しかし、受験前から「勉強したいだけ」ならば、そこは落とされます。少なくとも面接では明確に「これを明らかにしたい(という研究をしたいのです!)」と言える必要があります。
具体的にどのように計画書を設定するべきなのか
ここからは具体例をもとに説明していきましょう。
先ほどの「音読指導は読解力向上に効果がある」をテーマとしたい場合の例を説明していきます。
そもそも、このテーマではまだまだ「何を明らかにするべきか」があいまいですのでさらにテーマの深堀からしていきます。
ここでまず設定するべきは、「音読指導」「読解力」「効果」の3つを具体的に定めることです。
音読指導について先行研究を調査してみてください。例えば、音読指導といっても「判読」といった方法論なのか、それとも「フォニックス」といった英語における発音指導なのか、など様々にあります。具体的に「どんな音読指導」なのかを必ず設定してください。
今回は、具体例として、小学校などでよくある「○読み(次の「。」まで読むというもの)」の音読活動、としたいと思います。
同様に読解力指導についても先行研究の調査をしましょう。すると、読解力というものにもさまざまな種類があることがわかるかと思います。例えば、小説の心情読解も「読解力」、評論の文章構造を読み取るのも「読解力」です。ご自身の論文のなかではなにを「読解力」としたいのかを設定しましょう。
今回はわかりやすく「定期試験で出題されるような読解」としましょう。ここで「え?」と思った方、さすがです。もし私なら「定期試験で出題されるような読解」=「読解」というのはおかしくないか?と詰めます。しかし、ここはこれで良いのです。その理由はあくまで、研究論文の作者が設定した条件だからです。つまり、論文作者が「あくまでこういう条件にしました。」という説明を明記し、そこにしっかりとした理由があれば全く問題なのです。
先ほどの説明の通り、論文ではなにかを明らかにする必要があります。言い換えれば、「効果があった(もしくは効果がなかった)」を明らかにできればそれは論文として成り立つのです。効果を図る際には基本的には「質的調査」か「量的調査」のどちらかになります。個人的には「関心意欲態度」的なものであれば質的調査、スキル面であれば「量的調査」のほうが教育系の研究ではやりやすいと思っています。
ここで具体例としては、あくまで「定期試験」になるので、「量的調査」になります。得点の「変化」をもとに効果の有無を検証することになります。
ここまでの流れを踏まえると私ならば、「○読み」をすることは「定期試験における読解分野」の得点率を「変化」させるのかどうか、をテーマとすることになります。
さらに言えば、私ならばこの「○読み」は無駄だなぁと思っていて(読んでいる人は良いかもしれませんが周りの子供は暇ですよね)、むしろ「効果がない」ことを明らかにし、現状の音読指導を批判する目的で研究をしたいと考えます。
なので、最終的な設定としては「○読みをしても定期試験における読解分野に対して効果がない」を明らかにする論文になります。
今回は少し長くなってしまったので、次の記事でどのような「評価」をするべきか、その研究の方法について説明していきたいと思います。
ぜひお悩みがあればいつでもご相談ください!
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