「勉強しているのにすぐに忘れてしまう…」と悩んだことはありませんか?
実は、人間の脳は新しい情報を一度で長期間覚えておくのが苦手です。
しかし、適切な復習方法を取り入れることで、記憶を定着させることができます。
今日は、心理学者エビングハウスが発見した「忘却曲線」をもとに、効果的な定期試験の勉強法を紹介します。
短期記憶と長期記憶の違い
私たちの記憶には「短期記憶」と「長期記憶」の2種類があります。
短期記憶: 一時的な記憶で、情報を数秒から数分間保持します。例えば、電話番号を一時的に覚えるのは短期記憶の働きです。
長期記憶: 一度学習した情報を長期間覚えておく記憶のこと。試験勉強では、この長期記憶に移すことが重要になります。
定期試験などのテストでは必要となるのは短期記憶ではなく長期記憶です。
そして、短期記憶から長期記憶へと定着させるために重要なのが反復です。
エビングハウスの忘却曲線とは?
「エビングハウスの忘却曲線」は、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが発見した、人間の記憶の忘れやすさを示すグラフです。
この曲線によると、人は新しい情報を学んだ直後から急速に忘れ始めます。
以下のような割合で記憶が薄れていきます。
20分後には42%を忘れる(授業後すぐに復習しないと、内容の半分近くが記憶から抜け落ちる)
1時間後には56%を忘れる(1時間後には学んだことの半分以上が消えてしまう)
1日後には74%を忘れる(復習しないと翌日には3/4が消える)
1週間後には77%を忘れる(1週間も放置すると、ほぼ同じ割合で忘れてしまう)
1ヶ月後には79%を忘れる(1ヶ月経つと、記憶に残るのはわずか2割程度)
つまり、1度学んだだけのことで長期記憶として残るのはたった2割なのです。
しかし、適切なタイミングで復習をすることで記憶を定着させることができます。
科学的な研究に基づく学習事例
学術研究では、記憶の定着には「分散学習(間隔を空けた復習)」が有効であることが証明されています。
例えば、カーネギーメロン大学の研究では、「1日おきに復習する学生は、1回で詰め込む学生よりも記憶の定着率が20%高い」と報告されています。
また、ハーバード大学の学習研究によると、「アクティブリコール(自分で思い出す学習法)を用いた学生は、単に教科書を読む学生よりも記憶の保持率が30%高い」との結果が出ています。
このように、短期記憶を長期記憶に移すためには、間隔を空けた復習とアクティブリコールが効果的です。
アクティブリコール(Active Recall)とは?
アクティブリコールとは、単に情報を読む・聞くのではなく、脳から積極的に情報を引き出すことで記憶を強化する学習法です。受動的な学習(例:ノートを見返す、講義を聞く)とは異なり、「思い出す」ことそのものが記憶の定着を助けるという理論に基づいています。
ここでポイントなのは、自分で思い出すという行為をすること!
最初から「教えてもらう」「確認する」は思い出すには当てはまりません。
忘却曲線を利用した定期試験対策
① 勉強したらその日のうちに復習する
忘却曲線によると、勉強してから20分後には42%を忘れてしまうため、どんなに遅くともその日の夜には学習した内容の復習することが大切です。
具体的な方法:
- 授業中にノートを取る(ポイントを押さえながら、要点をメモする)
- 授業後、その日のうちにノートを読み返す(記憶が鮮明なうちに確認する)
- 音読しながら要点をまとめる(視覚と聴覚を使うことで記憶の定着を強化)
- 記憶マップ(マインドマップ)を作る(情報の関連性を整理しながら復習)
② 1日後・3日後・1週間後に繰り返し復習する
- 1日後(翌日):ノートや教科書を読み返し、問題を解く
- 3日後:再び確認し、重要ポイントを思い出す
- 1週間後:テスト形式でチェックし、苦手な部分を洗い出す
- 試験直前:総復習し、確実に記憶を定着させる
③ 「アクティブリコール」で記憶を強化する
- 問題形式にして自問自答する(教科書を閉じて内容を思い出す)
- フラッシュカードを使う(記憶の定着に効果的)
- 家族や友達に説明してみる(他人に教えることで理解が深まる)
- 関連知識を結びつけながら学習する(背景知識とつなげて記憶を強化)
まとめ
エビングハウスの忘却曲線を意識した勉強法を実践すれば、効率よく記憶を定着させることができます。
✅ 短期記憶を長期記憶に移すために復習を繰り返す
✅ 間隔を空けた復習(分散学習)を取り入れる
✅ アクティブリコールで思い出す練習をする
ぜひ、今日から試してみてください!
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