今日は近年注目されつつある国際バカロレア(International Baccalaureate 通称IB)を日本で受けるメリットとデメリットについてお話したいと思います。
私も実は、国際バカロレアの教員をしております。
そんな、私が考える日本で国際バカロレアの教育を受けるメリットとデメリットとは以下の通りです。
<日本で受けるメリット>
- スピーチ力、プレゼン能力と言った表現力が培える。
- 海外進学をする上で有利
- クリエイティブな授業
- 英語力が維持・向上できる
- 少人数IBファミリー
- 日本の高校卒業資格と同時取得
<日本で受けるデメリット>
- 国内大学を進学先とするときのメリットが少ない
- フォロー体制が整っていない
- 英語力がないとついていけない
- 落ちると修正がきかない
- 学費がプラスでかかる
(*あくまで日本国内で国際バカロレアの教育カリキュラムを履修する場合に限っています。)
以下にそれぞれ説明していきたいと思います。
<日本で受けるメリット>
スピーチ力、プレゼン能力といった表現力が培える
日本の教育にもスピーチ力、プレゼン能力といった表現力を育成しようという試みはあります。
しかし、結局は昔と同じ教材を使っている&教員が受けてきた教育がそもそも詰め込み型教育、という理由もあり、必ずしも上手くいっているわけではありません。
一方で、IBの教育は、スピーチ力、プレゼン能力を育成するというよりも、当たり前のようにスピーチやプレゼンが行われるため、自然と表現力が伸びていきます。
私の授業に関しては月に2度ほどこうしたスピーチやプレゼンを行う授業がありましたし、生徒は毎回一人5〜10回ほど当たり前のように発言していました。
海外進学する上で有利
私がよく聞かれる質問が、「IBは進学に有利ですか?」という質問です。
私の答えとしては、
①海外進学を考えているなら有利
②国内進学にしぼっているなら要検討(=行きたい大学にIB入試があるかどうかを調べる)
③もし日本語より英語の方が得意という人(帰国子女など)は国内外進学に関わらず有利
です。
なぜこのように答えているかというと、
①「海外進学を考えているなら有利」
→ 日本では海外進学の際の入試対策を行える高校がほとんどありません。
IBは世界で広がっているカリキュラムなので最終的にスコア次第で自由に世界中の大学を選ぶことができます。
また、英語力が抜群に伸びるので、海外進学の際のSATやTOEFLといった資格試験の対策にもなります。
②「国内進学にしぼっているなら要検討」
→ 日本国内ではまだIBはメジャーな選択肢とはいえません。
なので、IBを採用している(=IBのスコアで合格が決まる)大学が決して多いとは言えません。
しかし、難関大学は結構取り入れていますし、今後の入試制度も変わっていくので今後変化していくことは予想されます。
ただ、現時点では、国内進学を考えている場合はIBが必ずしも有利になるとは言えません。
③「もし日本語より英語のほうが得意という人は国内外進学に関わらず有利」
→ IBを希望する生徒は帰国子女やインターナショナルスクール出身という人も少なくありません。やはり日本語力に不安がある場合、言語力の面で日本の授業についていくことが難しい場合もあるでしょう。
しかし、IBは英語で授業を行うため、言語面での不安は無くなりますし、国内進学希望であっても帰国子女枠で試験を受けることができる場合も多いので日本語より英語の方が得意(日本語が苦手)という場合はIB履修をおすすめします。
クリエイティブな授業
IBの授業はクリエイティブなものが多いことで知られています。
例えば、biology(生物)の授業では解剖をしたりすることもありますし、言語系の授業では物語を書いたりもします。
教員によって大きく授業スタイルが変わるのもIBの特徴ですが、教員に自由がかなり与えられているのでこういった面白い授業の実践が可能となっています。
英語力が維持・向上ができる
これはイメージしやすいと思います。授業が英語で行われるため、英語力の維持・向上が見込めます。
特に帰国子女、インターナショナルスクール出身で日本に来た場合などは、保護者として英語力を衰退させたくないというのが本音でしょう。
IBを履修すればこの心配は無くなるでしょう。
少人数IBファミリー
IBの1つの特徴は少人数の授業であるということです。日本では38人前後で授業が行われますが、IBでは5〜25ぐらいです。となると、クラス内での関係も人数が少なくなる分濃くなります。
また、IBのクラスは外国人気質の人も多いので、お互いフランクな雰囲気になります。その中の良さから「IBファミリー」なんて言われたりします。
日本の高校卒業資格と同時取得
日本国内の学校でIBを取得する場合、IBの卒業資格と同時に日本の高校卒業資格も取得できます(※一部インターナショナルスクールを除く)。
ですので、もしIBの最終試験が不合格であったとしても、国内の大学入試の受験資格は残ることになります。
<日本で受けるデメリット>
国内大学を進学先とするときのメリットが少ない
先ほども述べました通り日本国内ではまだIBはメジャーな選択肢とはいえないのが現状です。ですので、IBを採用している(=IBのスコアで合格が決まる)大学が決して多くはありません。
しかし、難関大学は結構取り入れていますし(というより難関大学以外はあまり採用していない)、今後の入試制度も変わっていくので今後変化していくことは予想されます。
ただ、現時点では、国内進学を考えている場合はIBが必ずしも有利になるとは言えません。
また、国内大学進学を希望していてかつ看護といった特殊な理系の学部などに進学をしたい場合などは、特にメリットが少なくなります。
というのも、現在、国際バカロレア入試を導入している大学の多くは文系学部なのです。
フォロー体制が整っていない。
日本国内ではまだIBはメジャーな選択肢とはいえないのが現状ですので、IB用の塾や家庭教師、参考書などは手に入りづらいです。
ただ、学校の教員がフォローはしてくれるので、教員を頼るようにしましょう。また、オンラインの家庭教師なども今は増えてきています。
英語力がないとついていけない
当たり前ですが、IBは英語を学ぶためのカリキュラムではなく、英語で学ぶカリキュラムです。なので、英語力がないと元も子もありません。
ある程度英語力を付けた状態で履修するようにしましょう。
落ちると修正がきかない
最終試験に落ちるとIBスコアを使っての大学進学の道は閉ざされてしまいます。
そのため、もし不合格だった場合で進学を希望する場合は自分自身の力で国内の大学入試を突破する必要があります。
しかし、周りは大学入試対策をしていた中、IBを履修していたというのは正直不利ですし、それを取り返すのにものすごい努力がいります。
その努力ができるなら、そもそもIBに合格できると思います。ですので、必ず合格しましょう。
学費がプラスでかかる
これは学校によりますが、国内の場合通常の学費+IB履修費(数十万程度)が必要になります。
ただ、学校によっては学校負担であったり、成績優秀者は免除など色々なパターンがあるので必ず確認しましょう。
以上が、国際バカロレアの教員経験者が語るメリットとデメリットになります。もし何か質問などがあれば問い合わせで気軽におっしゃってください。
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